2007.3.3(土)、14:00~16:00、静岡労政会館
2月6日、静岡県庁前で焼身自殺した井上英作さん。ネット上では「inotarou」と名乗っていました。以前、彼について少し書いてみたのですが、3月3日に彼を追悼する集会に参加して、改めて彼について考えてみることにしました。
彼の思わぬ死から約1ヶ月。急きょ準備した会場はやや小さかったものの、彼の死を悲しむ人たちが全国各地から集まってきていました。ざっと80人はいたように思います。
●開会あいさつ
冒頭、司会の方からのあいさつは以下のとおりです。
・inoさんは主に環境面から空港建設に反対してきた。
・2月9日に告別式があり、今日はご親族の方も来ている。
・空港の無駄は明白、しかし知事は先日のTV討論でも開き直る発言をしている。
・県からはinoさんの死に対するコメントがない。
●黙祷、献花、ご親族あいさつ
その後、参加者全員で黙祷を捧げ、献花を行いました。続いてinoさんのご親族の方から、以下のようなあいさつがありました。
・英作がmixiにいろいろ書いたので感想を聞かせてほしいと言われ、読んでみて彼にそんな才能があることが分かった。
・英作はまじめすぎて、もう少しくだけた部分があればこんなことにはならなかった。
・多くの皆さんが本日お集まりいただき、また県庁前に献花していただき感謝する。
●ビデオ上映
続いて、生前のinoさんを偲ぶべく、ビデオが上映されました。彼は収用委員会の公開審理や、現地での集会や測量調査、県庁前の座り込み行動などの行動のすべてに参加し、静岡空港建設反対の先頭に立ってきたそうです。ビデオの中では、彼の大きく映っている場面はあまり多くなかったのが残念でした。公開審理中、inoさんが空港建設事務所長に迫る場面もありました。彼の真剣さや熱意(これは他の空港反対メンバーにも言えますが)は分かるのですが、いささか乱暴に見えなくもなかったです。もう少し穏便にできないものでしょうか。
ビデオ上映後、友よ(だと思う)、We Shall Overcomeを献歌しました。
●会場からの声
その後、会場からinoさんを偲ぶ多くの発言がありました。およその内容は、以下のとおりです(発言者ごとに1行開けています)。
・県民が望みもしない、路線ができるかどうかも分からない空港を、住民投票を封殺し暴力をふるってまで建設強行する石川の罪は万死に値する。それに引きかえ、この死はあまりにも痛ましい。
・私は隣町に住んでいて、何も知らなかった。
・地球がおかしくなっている。1m50cmものイノシシが出てきたり、海苔が採れなくなったり、小麦の輸出国からもう輸出は勘弁してと言われたり。
・環境がおかしくなっているにもかかわらず、飛行機を飛ばすなんておかしい。空港のコンクリをはがして、お茶を植えたい。
・この前のTV放送では、80%以上の方が空港は不要だと答えていた。それに対して知事いわく、「突然の質問ならば、そういうこともある」と回答していた。同じ番組に出ていた大学教授は「乗客は106万人ではなく30万人ではないか」と指摘していた。
・今年の選挙は今までとは違う。inoさん、大空から見ていてほしい。
・来週か再来週に、週刊金曜日で空港の記事が出る。
・県の未来、地球の未来を真面目に考えて、死をもって抗議しなければならなかったとは…。私たちの活動を見守ってほしい。
・空港反対の署名を集めているが、人々の関心は低い。もっと広く世間にアピールすべき。今日のような集会も、もっと大きな場所で行ってほしかった。
・先月、県に抗議に行った。県の職員で話を聞いてくれたのは3人だけ。しかも、inoさんの遺書に対して、本人のものかどうか分からないのでコメントできないという発言をしていた。
・一生懸命、彼の遺志をつないでいきたい。
・飲酒運転の罰則がきびしくなり、他の法律も厳しくなっている。
・庶民への法律は厳しくなっているが、知事や国土交通省はルール違反を平気でやっている。
・県は、土地を100%確保しないうちに事業認定を申請し、国土交通省は「話し合いで土地を獲得する」という一筆をもって認定したと聞く。
・私の知っている道路事業で、反対する住民を無視して事業を行って、結局反対の家族は死んでしまったことがあった。
・自衛隊がイラクに行くのは反対。
・駿河湾の海中林が消えて、シラスやエビが減っているという。県は現状の情報を公開してくれない。原発の影響もあるのではないか。
・企業はリスクを犯すこともあるが、県はリスクを犯してはいけない。
・国会も強行採決すべきではなく、話し合いで決めるべき。
・今回上映したビデオの編集をしたが、彼の笑った写真は少なかった。
・収用委員会の連中がのさばっているのに、何で彼が…という気持ち。
・inoさんとは環境問題で一緒にやっていた。今回の件は残念。
・彼とはお酒を飲んで、恋愛の話をしたりもした。
・「ものごとを成功させるにはどうしたらよいか」という話をしているときに、inoさんは「友達を作らなければならない」と言った。嫌われていてはダメ、慕われる人間にならなければならない、ということだと思う。
・相手の気持ちをこちらに向かせるにはどうしたらよいのか、知恵をしぼってやっていきたい。
・空港と原発の活動に取り組んでいる。
・今回の件は、マスコミの取り上げ方が小さく、薄情だと思う。
・空港反対だと思っていても言わない県民性も問題だと思う。
・空港賛成のマスコミ報道はおかしいと思う。
・10年近く空港反対運動をしていた。mixiは彼の誘いで入った。
・TVでは8割の人が静岡空港を使わないという。知事の「グランシップの赤字8億と比べたら、空港の赤字は5億」というのはとんでもない発言。
・無駄な空港を廃港にするまで頑張る。
会場からの発言が終わった後、「空港はいらない県民の会」の事務局長から、inoさんの遺志を受け継ぐという追悼文を読み上げ、集いは終了しました。
この日の集いでも話題になった、知事が出演した静岡空港のTV番組、私は見ていないので分かりませんが、それに触れているサイトがあったので以下に掲載しておきます。
残 照 | 石川静岡県知事の妄言(静岡空港問題番組)
NHK特番「徹底討論 開港まであと2年 静岡空港のこれから」概要集
inotarouさんのこと(2)に続きます